FIM「記憶」の採点基準を具体例で解説!臨床で迷う「見当識」と「日課」の評価

memory FIM判定基準

FIMの評価で、意外と判断に迷うのが「記憶」です。

「HDS-R(長谷川式)は高得点なのに、病棟では迷子になる」

「家族の顔はわかるけど、今日のリハビリの時間は覚えていない」

このような「検査結果と生活動作のズレ」をどう点数に反映させるべきか、悩むセラピストは少なくありません。

この記事では、「記憶」の評価対象となる3つの要素と、現場で活用できる「5点(見守り)」と「4点(最小介助)」の具体的な判別方法を、理学療法士の視点で詳しく解説します。


1. FIMの「記憶」で評価する3つのポイント

単に言葉を覚えているかだけでなく、以下の3つが「生活の中で」できているかを確認します。

  1. よく会う人を認識しているか: 家族、主治医、担当セラピストなどを(名前は出なくても)「いつもの人だ」と認識できているか。
  2. 日課(ルーチン)を覚えているか: 食事の時間、リハビリの時間、入浴日など、毎日の流れを把握して行動できているか。
  3. 依頼されたことを実行できるか: 「あとで看護師さんを呼んでください」といった、人から頼まれたことを忘れずに遂行できるか。

2. 【点数表】記憶の判定基準と現場の捉え方

点数判定の目安(現場での捉え方)
7点完全自立。 日課や人を完璧に覚えており、介助なしで生活できる。
6点修正自立。 メモ帳やスマホのアラーム、カレンダーなどの補助具を使って、自力で日課をこなしている。
5点監視・準備(5点の壁)。 100%自力で覚えているが、ストレス下や不慣れな環境(入院直後など)では「確認」や「促し」が必要。
4点最小介助。 日常生活に支障がある物忘れが「時々(25%未満)」あり、スタッフの声掛けが必要。
3点中等度介助。 1日のうち頻繁に(25〜49%)日課を忘れ、その都度誘導が必要。
1-2点最大・全介助。 自分の部屋も担当者も分からず、常に付き添いや誘導が必要な状態。

3. 専門家の視点:迷った時の「必勝判断ガイド」

Q. 予定表を見ながらリハビリの準備を済ませられる人は?

これは非常に良い「代償手段」です。自力で予定表を確認して、時間に合わせて準備できているのであれば、「修正自立(6点)」と評価します。FIMは「道具を使ってでも自立していること」を高く評価する仕組みだからです。

Q. 名前が出てこない場合は減点?

名前がスッと思い出せなくても、「リハビリの人」「あのアナウンサー」といったように、その人の役割を認識して適切に対応できていれば「自立」とみなしてOKです。

Q. 5点と4点のリアルな境目は?

私が現場で基準にしているのは、「介入(キュー)の必要性」です。

  • 「今日は何曜日だっけ?」と本人が自発的にカレンダーを確認できるなら5点。
  • こちらが「今日は入浴日ですよ」と教えないと、お風呂の準備を始められない状態が続くなら4点以下です。

4. まとめ:記憶の評価は「行動」で見よう

「記憶」の点数は、退院後のスケジュール管理や服薬管理の可否に直結します。

机上の検査(HDS-RやMMSE)の点数に惑わされず、「実際の生活場面で、物忘れによって何らかの不利益や介助が生じているか」を主軸に置くのが、正しい採点のコツです。

「それでも、複雑なケースで何点か迷ってしまう…」

そんな時のために、【FIM自動判定ツール】を作成しました。

病棟での具体的なエピソード(日課の忘れ、人の認識ミスなど)を選択するだけで、迷わず正確なスコアを算出できます。ぜひ、あなたの臨床の助けとして活用してください。


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